2日間でマスターする咬合調整テクニックセミナー
[セミナーの特徴]
私の提唱するベクトル咬合理論は、大学で教授される理論とはまったく異なっていることを、まずお含み置きください。この理論での咬合様式は、リンガライズドオクルージョンとグループファンクションです。
この咬合様式は、全部床義歯の咬合面に限らず、部分床義歯、スプリント、さらには、インレーやクラウン、インプラントでもまったく同じです。
この咬合を構築することによって、顎関節症、ブラキシズム、そして咬合性外傷や歯周疾患は治癒します。また、全部床義歯や部分床義歯では、快適な咀嚼と長期に安定する義歯となります。この咬合様式は、補綴修復物の種類によって変わることはありません。
セミナーを受講された先生方は、この理論が難しいものでないことがおわかりになると思います。受講にあたっては、咬合理論と咬合様式が、咬合力学的また顎運動的にみて、いかに合理的であるかがおわかりになります。実習では、咬合調整の技術を習得してください。
そして明日から、この技術を臨床に応用してください。患者さんの顔色や反応が、驚くほど明るく変わってくることに気付かれると思います。何軒歯科医院を回っても、痛くて噛めなかった全部床義歯を、先生が安定させて、患者さんの信頼を勝ち得てください。
著者は、この理論による治療を40年近くにわたって、すべての患者さんに用いてきました。その間、理論や咬合様式の変更を、余儀なくされた症例は1例もありません。安心して臨床に応用できる理論です。
[各セッションのポイント]
- 「臨床で必要な顎位とその臨床的意義」
中心位という顎位は、顎関節で定義される顎位です。この顎位は、下顎安静位から中心咬合位までの間、すなわち口腔では安静空隙になります。
この中心位の定義は、著者の咬合理論の原点です。ここを出発点とすると、中心位、中心咬合位、咬合高径、咬合平面、咬合接触、そして安静空隙などの顎位が、咀嚼機能や会話発音機能と、いかに有機的に結びついているかがわかります。さらに正しい顎位を決定する臨床的基準が、どこにあるかも理解できます。 このセッションでは、著者の提唱する咬合理論の核心の部分について解説します。
- 「中心位への誘導」
中心位へ誘導するとは、患者さんの顎を中心位へ導くことと思われます。しかし実は、どのような誘導法を行っても、患者さん顎を真の中心位に直接導くことはできません。なぜなら、誘導した顎位が真の中心位である、という保証はどこにもないからです。 このことは、ドーソンでも明らかにしていません。
では、中心位という顎位は、どうして回復するのでしょうか。著者の長年の臨床経験から、それを失った患者さんでは 「患者さんが治療の完了した後に、自然に獲得するものである」 ということがわかってきました。それを可能にする咬合様式がリンガライズドオクルージョンとグループファンクションなのです。この事実を、臨床例に基づいて解説します。
実習では、クローズドロックに対する即時解除法、また、限りなく中心位に近い顎位に導く方法について、著者が患者になって誘導の技術を習得します。
- 「顎関節症の診断と永久補綴治療」
顎関節症の治療では、まず、スプリントを選択されると思います。
そこで伺いますが、スプリントの材質は、ハードですかソフトですか。 厚さは、何ミリにしますか。その臨床的根拠はどこにありますか。 クリック音の治療は、どうするのですか。そしてスプリントで症状が治まった後、どうするのですか。著者の顎関節症の治療は、二度と再発しないように永久補綴治療まで行います。
講演では、症例を提示しながら最終補綴治療までの流れを解説します。
実習では、最も理にかなった下顎スタビリゼーション型スプリントの咬合調整法を習得します。
- 「部分床義歯の設計と咬合」
最近インプラントが、マスコミでクローズアップされるようになってきました。なぜ、医学的に未完成なインプラントが、もてはやされるのでしょうか。著者には、いろいろな理由が 浮かびますが、その1つに、部分床義歯では快適に食事ができない、鉤歯が次々に抜歯になり、そのたびに修理や新調を強いられる、ということがあると思います。 しかし、インプラント より快適な咀嚼と、長期に安定する部分床義歯を設計し、作製することはできるのです。
近い将来、部分床義歯がリバイバルする時代が来ると思います。先生方にはそれを先取りして、インプラントより安心でき、快適に咀嚼ができる義歯を作ってほしいと思います。 講演では、咬合理論からそのポイントについて解説します。
- 「咬合性外傷と歯周疾患の診断と永久補綴治療」
咬合性外傷と歯周疾患は、異なる疾患のように考えられていますが、実はそうではありません。その事実を、咬合性外傷に罹患した歯の治療を通して明らかにし、咬合性外傷の病因を究明します。すると、そこから咬合性外傷と歯周疾患の姿と、真の治療法が見えてきます。
本セッションでは、臨床例を提示しながら2疾患の分類と治療法について解説します。 治療法の原則は、咬合調整です。咬合調整とは、削合することではありません。咬合面に光重合レジンを添加し咬合を整えることも咬合調整です。その咬合調整法は、次セッションの「ブラキシズムの診断と永久補綴治療」で行う方法とまったく同じです。したがって、実習は次セッションで、合わせて行うことにします。
- 「ブラキシズムの診断と永久補綴治療」
GPT−8によれば、ブラキシズムは、歯ぎしりと喰いしばりと定義されています。したがって2つの症状は、表裏一体のものです。
本セッションでは、この疾患の原因の1つである局所原因について、文献と疫学調査を基に解説します。そして、この仮説を基に、ブラキシズムの咬合診断と治療法を説明します。
実習では、局所原因である咬合異常に対して、治療的診断法として著者の開発した咬合再建処置法を行います。咬合再建処置とは、咬合面に光重合レジンを添加して咬合様式を整える技術です。この調整法は、咬合性外傷や歯周疾患の治療にも通じます。 実習では、模型を使って技術を習得します
- 「全部床義歯の理論と咬合調整」
全部床義歯の難症例とは、どんな名医でも難しい症例であることに変わりはありません。では、このような患者さんでは、生涯にわたって全部床義歯は装着できないのでしょうか。そうではありません。必ず、安定させられます。その要点はいくつかありますが、最大のポイントは咬合です。
全部床義歯が最も安定する咬合様式は、リンガライズドオクルージョンとグループファンク ションです。著者のグループファンクションは、咬合斜面に線状の滑走痕を引くような咬合接触はさせません。どんな滑走運動を行っても、直径2〜3mmの円形の接触となるような咬合 面を人為的に作ることです。
講演では、全部床義歯の咬合理論、特に咬合様式と顎運動について解説します。
実習では、上下顎のエポキシ模型を完成した全部床義歯とみなして、直接口腔内で、リンガラズドオクルージョンとグループファンクションの様式に、咬合調整する技術を習得します。
- 研修終了後は、各自の模型と咬合器は持ち帰り出来ます。
- 修了証授与します。
講師紹介
丹羽 克味 |
1965年 東京歯科大学卒業 |
書籍紹介
咀嚼・咬合論丹羽克味 |
入門 咀嚼と咬合丹羽克味 著 2009年11月発行 |
全部床義歯の痛み丹羽克味 著
2011年12月発行 |
セミナー 2日間コースのご案内
テーマ:「正しい顎位、その診断と治療」
実施要領
セミナー実施日
※セミナー時間 1日目 9:30〜19:00 2日目 9:00〜17:00 |
2013年 |
満席御礼 |
開催地 | 東京御茶ノ水 学建書院会議室 | |
定 員 | 4名 | |
受講料 |
歯科医師 60,000円+器具材料代(20,000円)計80,000円
|
|
当日ご用意いただくもの | 白 衣 |
カリキュラム
第1日目
時 間 | 内 容 | |
9:30〜12:00 | 講 義 | 「臨床で必要な顎位とその臨床的意義」
これらの臨床的意義について解説します。
|
12:00〜13:00 | 昼 食(模型展示:著者の治療した模型を展示します) | |
13:00〜14:30 | 講 義 | 「中心位への誘導」
|
実 習 |
・オトガイ誘導法/ヒポクラテス変法 ・安静空隙(閉唇空隙と開唇空隙)の確認 |
|
14:30〜17:30 | 講 義 | 「顎関節症の診断と永久補綴治療」
|
実 習 |
|
|
17:30〜19:00 | 講 義 | 「部分床義歯の設計と咬合」
|
第2日目
時 間 | 内 容 | 9:00 | 集 合 | 学建書院 |
9:00〜10:30 | 講 義 | 「咬合性外傷と歯周疾患の診断と永久補綴治療」
|
10:30〜10:40 | 休 憩 |
|
10:40〜13:00 | 講 義 | 「ブラキシズムの診断と永久補綴治療」
|
実 習 |
|
|
13:00〜14:00 | 昼 食 | |
14:00〜17:00 | 講 義 | 「全部床義歯の理論と咬合調整」
|
実 習 |
上下顎エポキシ模型を重合した全部床義歯とみなして、実習します。 |
|
17:00〜 | 修了証書授与 解散 |
時間の許す限り、質疑応答・症例相談に応じます。
模型、エックス線写真の持参歓迎します。 |
☆カリキュラムの内容、スケジュールは変更する場合がございますので、予めご了承ください。